
採用のトレンドの一つである多様性。
学歴などの個人情報を取り除き、実力に重きをおいて評価できる採用手法として注目を集めています。
耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
今回はそんなブラインド採用をご紹介します。
ブラインド採用とは
ブラインド採用とは名前・性別・年齢・学歴といった個人情報を取り除き、能力や実績のみを評価基準とする採用手法です。
「わざわざそんな採用手法を取り入れなくても、うちはしっかりと能力や実績を重視して採用を行っている!」と思われる方もいらっしゃるでしょうが、これを行うことの難しさを示す実験があります。
それはスタンフォード大学のクレイマン・ジェンダー研究所があるオーケストラ楽団を対象に行った実験です。
70年代の米国ではオーケストラの楽団における女性団員の割合は5%にすぎませんでした。
しかし、この楽団に対して入団希望者の審査を演奏する姿が見えない形式で行ったところ、女性団員が増加。結果として平均25%にまで女性団員の割合が増加したのです。
もちろん、入団基準に「男性であることが望ましい」というような性差を加えていた訳ではありません。
このように人は審査対象に対して無意識のうちに、能力や実績以外の面を採用基準としてしまうのです。
なぜブラインド採用が注目されるのか
ブラインド採用が近年注目を集め始めた理由として、ビジネス環境の変化が挙げられます。少子高齢化や雇用条件の変化などによって、企業はこれまでにない環境で優秀な人材を採用しなければなりません。
また多様な社員を採用することにより、複雑化していく消費者の思考や価値観に合わせた商品やサービスの提供を行うこともできます。
社員の属性を多様化することはそのまま多様化・複雑化していく社会に適応することに繋がるのです。
導入する際の注意点
このようにメリットが大きいブラインド採用ですが、同時に注意すべき点も当然あります。その一つの例として「年齢や性別の偏在化」が挙げられるでしょう。
評価基準を単純に能力だけにしてしまうと、年齢や性別が一切考慮されません。
そのためブラインド採用を導入する際には「どこまでブラインド化するのか」「履歴書にはどのようなことを記載してもらうか」といった基準を設けることが必要です。
多様化する社会の中で注目を集めるブラインド採用。
これまで説明したように大きなメリットがあることは間違いありませんが、むやみに導入すると思わぬ結果を生むリスクもあります。
社内環境を把握の上、適切に導入するようにしなければなりませんね。